・・・どうしてそこに居るのが私じゃないんだろう。

そこに居るのは私の筈なのに。







そんな生ぬるい気持ちじゃ 言い表せなかった。



かつて自分の中で感じた事のある







・・・狂気。





















-regret-   PHASE-02





















まだ何も知らなかった頃キラを貶めた気持ちが、再び自分の中で暴れだそうとしている。

・・・この二人の関係など何も聞いていないくせに、勝手に決め付けようとしている。

キラを自分だけのものにしたいという独占欲。



なんて醜いんだろう・・・。

苦笑がこみ上げてくる。





ラクス・クライン。シーゲル・クライン前議長の娘。

・・・知っているのはこれ位だった。

分からないのなら、直接聞いてみるに越した事は無い。

そう思いフレイが口を開いた時には、既にラクスが喋り出していた。



「あの時以来ですわね。お元気そうで、本当に良かったですわ。」

「え・・・・・・?」



予想していなかった。彼女が自分の事を良かったと言ってくる事は。

フレイは自分が聞きたいことを忘れ、ただ唖然としていた。

父を守る為とはいえ、一時は殺そうとした彼女。良い印象はある筈が無いのに。

ラクスは、微笑んでフレイを見つめたまま。

フレイは何を言っていいのか分からなかった。





「あの時自己紹介をしそびれてしまったのを思い出して、キラとエターナルから移って来ましたの。」

「・・・自己紹介・・・?」

「はい! 改めまして、私はラクス・クラインです。よろしくお願いしますわね。」





そう言って手を差し伸べてきた。

いきなりの事の進め様に、フレイは訳が分からなくなっていた。

どうして殺そうとした相手に自己紹介と握手を求めるのか。何か目的があるのか。

聞きたい事は沢山あるが、フレイにはラクスに一番言いたい事があった。

いや、言わなければいけない事が。





「ごめんなさい・・・!」





精一杯の気持ちを込めて、頭を深く下げた。

ラクスはえ?と首を傾げた。

それもそのはずだ。いきなり頭を下げられて疑問に思わないはずが無い。



・・・しかし、この時ラクスにはフレイの言おうとしている事が分かっていた。

分かっていての、演技。




「あの・・・戦闘の時・・・、私あなたを殺そうとした・・・。パパに生きていて欲しかったから。

 言い訳かもしれないけど、あの時は私、周りが何も見えてなかった・・・。」




フレイは淡々と、戦場での事を振り返りながら話す。

ラクスはそんな彼女をただ黙って見つめていた。その表情からは何も感じ取れない。





「今は心から悪かったと思ってる。反省してるわ。本当に、ごめんなさい・・・。」





フレイは深く下げた頭をさらに深く下げ、謝った。

ラクスの目はフレイを捉えて離さない。瞬きもせず見つめていた。





その瞬間、フッと周りの空気が軽くなった。

それがフレイに分かる程、重かった空気が一瞬にして消えた。





「頭を上げてください。」





フレイはゆっくりと、顔を上げた。

そこには、変わらずの笑顔でいるラクスがいた。





「フレイさんのお父様がお亡くなりになったのは、戦争が起こした悲劇です。フレイさんの起こした事もそれと同様。

 貴方は何も悪くありません。お父様を思いやったからこそ、あの行動を起こしたのでしょう?」



ラクスは淡々と、優しくフレイに語りかける。

フレイは信じられないという風に目を見開いている。

まさかこんな言葉を言われるとは思ってもいなかった。許してくれるはずが無いと。



「では自己紹介の話に戻りますわね。私はラクス・クラインです。貴方のお名前は?」



拍子抜けだった。彼女はこんなにも切り替えが早いのかと思う。

このままでは、自分も自己紹介するしかないではないか。

フレイは苦笑しながら、伸ばしているラクスの手を握った。





「フレイ・アルスターよ。よろしくね。」





結局感謝の気持ちも言いそびれ、何とも段取りの悪い会話だった。

しかしこの会話で、少しだけラクスの事が分かった気がする。

彼女は、人に対して丁寧で、優しく、まさに見た目通りの人物だ。少し天然だが。





「・・・では、これからはお二人の時間ですわね。」

「え・・・」





ラクスはそう言って後ろを見る。

彼女の視線の先は、キラ。

どこか不安そうな、心配している様な瞳。だがその視線は、まっすぐフレイを見つめている。

フレイはラクスと話しているうちに、キラの存在を忘れかけていた。

一気に押し寄せる、不安と緊張。



「お邪魔虫は退散しますわ。では、ごゆっくり。」

ラクスはそう言うと、ドアの向こうに移動する。

シュッと、聞き慣れた音が響いた瞬間、静まり返る部屋。



フレイは気まずい空気に耐え切れなくなり、キラから視線をそらした。

何から話していいのか分からず、ただ立ち尽くしていた。



「フレイ。・・・僕は」

「待って!私から話す。」



先に聞くと話したい事も話せなくなると思い、キラの言葉を遮った。





フレイは小さく深呼吸をすると、ゆっくり顔を上げた。






























PHASE-02完成です。

いつも書いた後に「これ以上書けない!!!」と思うのに、次書こうと思えば書ける不思議。

別に不思議じゃないかな。終わった時脱力気味だからそう思うだけかもね・・・。

まだ序章なのにこんなんで大丈夫かな。最後までは絶対書くけど、ネタとかちゃんと思いつくかな。

最後とかこれからとか全く考えてない作者です。ごめんなさい。

06/3/15




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