暗闇の中、微かに聞こえる叫び声。 その刹那、激しい音と共に声は消えた。 一人の少女がゆっくりと、確認するかのように辺りを見回す。 殺気を含んだ目を細めると、ピチャ・・・と生々しい足音を立て、歩き出した。 ・・・目の前の敵を、殺す為に。 -罪の痕- 其ノ二 敵は数人。 致命傷を負いながらも尚立ち向かおうとする者。 恐怖に負け、今すぐに逃げようとする者。 少女は、クナイを胸の位置まで持っていき、殺気を向け笑ってみせた。 「ぅゎぁぁあああああっ!!!」 向けられた一人は狂ったように叫び、少女から逃がれようと走り出す。 ・・・背を向けたのが間違いだった。 ブシュッッ 鈍い音が、この忍の命の終わりを告げる。 声を出す間もなく倒れこんだ体。 ―――いや、もうこれは物体と言ったほうが正しいのかもしれない。 ソレを見た仲間達は額に汗を流し、少女を見つめた。 信じられない、化け物を見るような目で。 少女は、また笑った。 瞳の蒼く妖しい光が忍達を射抜く。 その美しさに惑わされ、敵だという事も忘れてしまいそうになる。 ・・・サァァ――・・――・・・・ 風に揺れる少女の翠色の髪から、ポタリと赤が落ちる。 顔についたどす黒い黒を手でぬぎ払い、右足に重心を乗せる。 そして、消えた。 「・・・・・・!?」 忍達は、慌てて辺りを見回す。が、少女の姿は何処にも無い。 静かな時が流れる。 四方八方に意識を飛ばし、集中した。 ・・・誰かの息を呑む音が聞こえる位。 ザァァァ――・・――・・・・ ドッ 「うっ・・・」 また一人、今度は声を上げ倒れた。 まるで、他の忍に居場所を教えるかのように。 一斉に集まる視線。 しかしそこには変わり果てた仲間だけ、少女の姿は無かった。 ・・・静かに、一人の忍の背後を、月に照らされた少女の影が覆った。 振り向くと視界いっぱいに、瞳を揺らし微笑んでいる少女の顔だけが、映った。 ―――其処は、最早血の海と化していた。 |