笑顔 |
「・・・このまま?」 「そう。ず〜っとミーアはラクス・クラインで在り続けるの。」 久しぶりに休暇に入ったというのにちょうど議長と一緒にいたミーアに引っ張り出されて、今は食事中だ。 俺の気持ちが分かっていてこんな事をしているのか、気付いていないのかさえ分からない。 とにかく、今は休みたい気持ちを抑えてこうしてミーアの傍にいる。 ・・・まぁ、断ったとしても結局こうなっていたかもしれないが。 ミーアは俺に会った時には今まで自分がやってきた事を話す。 演説の事、コンサートの事。 でも、今日はいつもと違った。 「だって、永遠にラクスさんだったらいろんな事できるのよ!普通の人と違った、世界の役に立つ様な事できるの!」 「・・・ミーアは、自分を大切にしたいと思わないのか?」 俺はミーアにそう言った。 ・・・俺は、つい最近まで"アレックス・ディノ"という偽名を使っていた。 代表であるカガリの補佐としてオーブに着くのなら、いくらなんでも「アスラン・ザラ」はマズイ。 仕方なくとはいえ、偽名を使っていたのは確かだ。 だから"自分を大切に"なんて、俺が言える言葉ではないけれど。 「・・・・・・いいの。私はこのままで・・・。」 ミーアは俺の言葉を聞いて一瞬顔を歪ませたが、すぐにいつもの顔に戻った。 「ずっと・・・分からなかったの。自分が何をしたいのか・・・。何が大切で、何を守りたいのか。・・・でもね、 私見つけたの。議長に会って・・・ラクス・クラインになって。」 ミーアはとびきりの笑顔を俺に向けた。 今まで見た事もないくらい幸せそうな笑顔。 俺は、どうしてそんなに嬉しそうに笑うんだろう・・・と思う。 「議長は私を舞台に立たせてくれた。私はそこでたくさんの人に出会ったの。私を応援してくれる人、 一緒に平和を願ってくれる人・・・今は、その人たち全員が私の大切な人・・・守りたい人たちなの。」 「・・・偽者だけど・・・ね。」 そう一言付け足して、無邪気に笑う。その笑顔を見て、俺も嬉しくなった。 「いいんじゃないか?・・・前向きで」 「ホント!?ミーア嬉しいっっ!」 ミーアはアスランに褒めてもらった、と立ち上がり両手をパンっと合わせる。 何の影も無い、偽りの無い笑顔。 その笑顔は見た人を幸せにさせる不思議なもの。 「アスラン、食事が終わったら行きたい所があるの。すぐそこなんだけどね、カップルに人気の スポットなんだって!夜景が綺麗でね・・・」 ミーアはまた嬉しそうに話を続ける。 俺は黙ってミーアの話を聞いていた。 ミーア同様、嬉しそうな笑顔を向けながら。 |